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杉を飲んで海を守る!?宮城県石巻で林業に取り組む夫婦が開発した「飲む森林浴:杉ハーブティー」とは

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1. 海から始まった森夫妻の林業


宮城県石巻市桃浦(もものうら)。海と山が隣接するこの地で、森優真さんと佳代子さん夫妻は林業に取り組んでいます。二人は東日本大震災後に移住し、被災者支援を行う中で林業の重要性に気付きました。きっかけは、桃浦で出会った漁師が語った「山が枯れると海も枯れる」という言葉。山から海へと供給される栄養はプランクトンの餌となり、海の生態系を支えています。優真さんはこの考えに共感し、林業を始めてみようと決意します。実際に桃浦の山に入ると暗く荒れていました。そこで優真さんは林業の知識と経営を学び、チェンソー技術を習得。海を豊かにするための林業をしようと「合同会社もものわ」を立ち上げました。



2. 荒れた森林を再生する


なぜ森林は荒れてしまうのでしょうか。林業が行われている森林では生産のプロセスとして、植林、下草刈り、枝打ち、間伐などの手入れが必要です。これらの管理が行き届かないと、土壌の保持力、保水力など本来山が持っているさまざな機能が失われ、森林は荒れていきます。そして最終的には土砂災害を引き起こしたり、海の生態系にも影響を及ぼします。


しかし、材木価格の低迷や細かく分かれた地権者の問題などで、管理されない森林が増え

ています。合同会社もものわではこの課題に向き合い、間伐を進めています。間伐を行う

ことで日光が差し込み、下層植生が育ち、土壌の保水力が高まり、生態系が豊かになりま

す。実際、二人が木を切り始めてから、森林内で鳥などの生き物を見かけることが増えた

そうです。


※下層植生とは・・森林の高木の下に生える低木や草のこと。土壌の流出を防ぎ、水を蓄え、生物の住処にもなる。



3. 合同会社もものわの事業


合同会社もものわでは間伐を進めるだけなく、間伐によって得られる森林の資源を最大限に活用することを目指しています。主な事業としては林業を始めたい人やレスキュー隊向けにチェンソー講習を実施。練習で間伐が進み、技術の普及と森林整備が同時に行われる仕組みとして注目を集めています。


間伐によって伐採した木材は家具やオフィス資材として活用しています。また、森佳代子さんは森林資源を活用する取り組みの一環として、木の香り成分を抽出したエシカルコスメのワークショップを行い、杉ハーブティーの開発にも至りました。


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4. 杉の球果からハーブティーをつくる


未利用資源を活用しようと模索する中で生まれたのが杉ハーブティー。杉の球果(杉ぼっくり)を使用しており、爽やかな杉の香りを楽しむことができます。林業の現場ではほとんど使われずに山に放置される球果ですが、二人はその球果が放つフルーティーな香りに気づきました。そこでハーブティーとして、杉の球果を活用することを考えました。


杉ハーブティーは球果のフルーティーな香りが際立っています。グリーンルイボスとブレンドすることで爽やかな味わいに仕上げています。また、球果の香りは季節によって変化し、夏はフレッシュ、冬はウッディな香りが際立ちます。お客様の中には甘いと感じる人もいるようです。


球果は普段手の届かない高い場所にあり、地面に落ちたものは香りが飛んで行ってしまいます。よって新鮮な球果を収穫するためには間伐をする必要があるため、結果的に森林の手入れが進んでいきます。


また、杉ハーブティーの製造には石巻市の企業が協力しています。ブレンドには高い技術を有する「TEAVER TEAFACTORY」、球果の選別には障がい者就労支援施設「あっぷるぷらす」が携わります。石巻の仕事仲間の存在も杉ハーブティーの価値を高めています。


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5. どんなシーンで飲むのがおすすめ?


杉ハーブティーは「飲む森林浴」と銘打っているだけあってリラックス効果が期待できます。愛飲者の大山さん(30代男性・女川町)は、「朝や仕事後など落ち着きたいときに飲むことが多い。趣味のサウナの後にも飲んでしまう。」と話します。ノンカフェインなので、就寝前にも安心して飲めます。また、一年ほど保存が効くため、石巻のお土産としても良い

でしょう。


杉ハーブティーの基本的な飲み方はホットティー。お湯で3~5分抽出すると香りが引き立ちます。冷やして飲んだり、お酒や炭酸で割るのもおすすめ。特に炭酸割りは肉料理との相性が抜群で、実際に石巻駅「リボーンアートスタンド」でも提供されています。



6. 森夫婦の思い


森夫婦は杉ハーブティーを通じて「森林と人をつなぐツールにしたい」と考えています。二人は森林に意識を向けてこなかった人、何か行動を起こしたいと思う人に「杉って飲めるんだ。」「いい香りで美味しい。」という新鮮な驚きを感じてほしいという思いで杉ハーブティーの開発を進めました。まずは杉ハーブティーを飲んで森林を感じてみることで、森林保全の一歩を踏み出せるのではないでしょうか。


そして、森夫婦の林業が海から始まったように、森林資源を利用することは海の豊かさを守ることにもつながります。海の視点から森林の再生を考え、森林資源を利用する取り組みに今後も注目していきたいですね。



7. よくある質問

Q. 花粉症の人が飲んでも大丈夫?

A. これまでに「杉ハーブティーで花粉症が悪化した」という報告はありません。花粉症の方でも飲まれているお客様はいます。影響は科学的には証明されてはおりませんので、ご心配な方は医師にご相談の上、お試しください。


Q.どこで買えるの?

A. 店舗:藤崎百貨店石巻店、IRORI石巻ではティーパックを販売しています。

  オンラインショップ:もものわのホームページでティーパックを販売しています。


Q.1つでどのくらいの量を楽しめるの?

A.1ティーパック(2g)につき200ccのハーブティーが作れます。

 

 

杉ハーブティーは、森林を守り、地域を支える新しい形の林業から生まれました。

一杯のお茶を通じて、森と海につながる体験をしてみませんか?

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